口腔外科
Oral Surgery
親知らず
「親知らず」の正式名称「第三大臼歯」といい、前から数えると8番目の歯となります。
18歳くらいから生えてくる歯ですが、全ての人に生えてくるわけではありません。
生えてこない人は1本も生えて来ません。
また、その本数も様々です。1本だけ生える人もいれば4本全て生える人もいます。
普通に生えている分には特に問題はありません。
ですが、磨きにくい場所であることから、虫歯や歯周病になったり他の歯に悪影響を及ぼすようなことがある場合は早めに抜歯することをお勧めします。
口内炎(口腔粘膜疾患)
症状
口腔粘膜疾患には、以下の症状を認めます。
①粘膜が赤くなったり表面があれる。
②水泡ができる
③潰瘍ができる
④粘膜が白くなる
⑤粘膜に色素沈着がおきる
⑥腫れや瘤ができる
などです。
口の中は、食べ物・飲み物が体内に入る最初の入り口ですので、温度的、機械的、化学的ならびに細菌的な様々な刺激を受けやすいところです。
このため唾液により粘膜が保護されていますが、慢性的な刺激、強度の刺激や唾液の変性・分泌量の低下により、様々な症状が発現しやすくなります。
また全身疾患の一症状として口腔粘膜に異常を呈したり、全身状態の悪化などで2次的に症状が発現することもあります。
原因
口内炎に代表される口腔粘膜には以下の原因が挙げられます。
①先天異常および発育異常によるもの
②様々な外傷、化学的原因によるもの
尖った歯や不正な歯並び
不適合なクラウンや詰め物
温熱刺激、放射線・化学物質による刺激
ニコチン
一部の抗てんかん薬
一部の高血圧治療薬
一部の免疫抑制薬
③細菌・ウィルス・真菌感染によるもの
歯垢
スピロヘータ
単純ヘルペスウイルス
水痘・帯状疱疹ウイルス
コクサッキーウイルス
エンテロウイルス
C型肝炎ウイルス
④アレルギー・膠原病によるもの
歯科金属による接触性アレルギー
薬物アレルギー
⑤全身疾患の一病変
感冒・胃腸障害の一症状
内分泌異常
精神的ストレス
誘因として、重度の栄養障害・免疫能の低下・全身感染症による体力の消耗
鉄欠乏性貧血
悪性貧血(ビタミンB12の吸収不全)
ビタミンB2の欠乏
糖尿病
⑥腫瘍性疾患
治療法
治療法としては、第一に原因の除去を行います。
刺激物を除去したり、細菌・ウイルス・真菌感染によるものであれば、投薬治療、全身状態の改善を行います。
アレルギー性疾患・膠原病・全身疾患の一病変であれば、全身的な治療が必要なことが多いので、医科と連携して治療を行います。
日本口腔外科学会の口腔粘膜疾患のURLです。
http://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_koku/
当院院長は日本口腔外科学会認定の口腔外科専門医です。
疑問・質問・相談に応じております。
歯ぎしり
「歯ぎしりは癖だからなおらない」「放っておいても体に害がなさそうだからいいや」と思っていませんか?
他の人に指摘はされてしまうものの寝ている時の事ですので、どの位かもわからず、なんとなくそのままにしている人はとても多いです。
歯ぎしりを放っておくと以下の様な悪影響を及ぼすことがあります。
・肩こりやあごの疲れ・痛みの原因になる
・顎関節症の悪化(頭痛・腰痛・めまいなど)
・歯のすり減りやひび割れ、歯の根もとの欠けの原因
・歯周病の進行
・かぶせ物が取れることがある
顎関節症
症状
顎関節症の主症状は以下の通りです。
① 噛む時に使う筋肉(主に顎周囲の筋肉)、耳周囲または顎関節の痛み
② 口が開かない、あるいは真っ直ぐに開かない
③ 顎を動かすと音がする
以上が主な症状です。
治療
顎関節に異常があっても、日常生活を送る上で痛みや、口が開かないなどの支障がなければ、積極的な治療は行いません。顎を動かした時の音のみの場合には経過を観察します。
初期治療として、まず日常生活の改善を行います。うつ伏せ寝、大開口、硬固物の摂取、症状がある側での咀嚼、首牽引療法などを禁止します。
通常、1日24時間のうち上下の歯が接触している時間は15~20分といわれています。主に食事による接触と思われますが、これ以外のわずかな力の歯の接触であっても、顎周囲の筋肉は緊張し顎関節周囲組織の異常を引き起こします。このため、日常生活において上下の歯が接触しているような状態にならないよう、注意を払うことも必要です。噛みしめないように意識するなど、顎関節に負担がかからないように注意を払います。
痛くない範囲で指1本程度しか開かない場合、開口練習を行います。この場合、痛みを伴うことが多いので、鎮痛剤、筋弛緩薬、抗不安薬の服用により症状を緩和させます。またスプリント(いわゆるマウスピース)といわれるプラスチックの板を上顎の歯列全体に被せて噛みしめ時の顎関節の負担を軽減させます。自分の手で筋肉をマッサージし、就寝中にスプリントを併用するとより効果があります。
保存的な治療で症状が改善しない場合には、顎関節の中に局所麻酔を行い関節内部の洗浄を行ったり、内視鏡手術を行ったりします。
なおスプリント療法により様々な慢性疾患(腰痛・アトピー性皮膚炎・体のバランスなど)も改善するという意見もありますが、それを立証する研究報告は存在していません。
日本口腔外科学会の顎関節疾患のURLです。
http://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_kansetu/
日本顎関節学会のURLです。
http://kokuhoken.net/jstmj/general/
顎関節症は日本顎関節学会により以下の通りに分類されます(2013年)。
(1) 顎関節周囲および顎を動かす筋肉の障害によるもの
1) 咀嚼筋障害
上記筋肉の緊張により顎がスムーズに動かなかったり、顎関節あるいは顔面に痛みを生じ口が開けずらくなります。
喰いしばり、歯軋り、過度な開口など筋肉に緊張を強いたり、心理的な要因に関与しています。
(2) 顎関節そのものに障害があるもの
1) 顎関節痛障害
顎を動かすと顎関節部に痛みを訴え、顎関節部に圧痛を認めます。
過度に口を開ける、硬固物の咀嚼、持続的な頭部牽引、喰いしばり、歯軋り、歯並びの不正や不良な詰物のよる噛合せの不正によって、顎関節内や周囲組織に炎症、変性がみられます。
2) 関節円板障害
顎関節内に存在する関節円板の位置異常、変性を認めます。
多くの場合関節円板はの前方に転位し、口を開ける時に下顎が病変側に傾き「カク」と音がします。閉じる時にも同様な音がすることがあります。状態が悪化すると音が消失し口が開かなくなり、顎関節痛を認めますが、次第に開口量が増すことがあります。
3) 変形性顎関節症
顎関節の痛み、口が開けずらい、関節に音がする、などの症状を認めます。関節の骨に変化がみられます。
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ドライマウス
口腔乾燥症(ドライマウス)
従来より口腔乾燥は水分の不足によって口が渇くものと、何らかの原因によって唾液の流出が悪くなって口が渇くものとが混在していました。
すなわち単なる水分不足で口が渇くものは、水分を補給することによって改善する生理的現象であって病気ではありません。
従って、口腔乾燥症(ドライマウス)とは唾液腺の機能異常やその他の原因で、水分の補給では改善しないものです。
さらに唾液腺の機能異常もなくその他の原因もない「口腔機能の低下」による口腔乾燥も口腔乾燥症(ドライマウス)のひとつです。
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歯の移植
様々な理由で歯を失った場合、入れ歯やブリッジ、インプラントなどが有名です。
そんな選択肢の一つとして「歯の移植(歯牙移植)」という方法もあります。
「歯の移植(歯牙移植)」とは
失った歯の場所に、親知らずや機能していない歯を移植する治療法です。
必要性がない「親知らず」を有効利用できる画期的な方法です。
歯の移植治療のメリット
・自分の歯を使う為、見た目にも機能的にも違和感が少ない
・インプラントと同様に自分の歯と同じような感覚
・ブリッジのように、周囲の歯を削る必要がない
・自然な噛み合わせを作りやすい
・保険が適用される場合がある
・アレルギーなどのリスクがない
歯の移植治療のデメリット
・治療できる条件がかぎられる
・元々は自分の歯の為、虫歯のリスクもある
『口腔ケア』と『新型コロナウイルス感染症』
口腔ケアは、現在のトピックスである新型コロナウイルス感染症の感染と重症化の予防ばかりでなく、
様々な疾患発現の予防に有効であると思われます。
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