口腔外科専門医 はじめ歯科医院 中村橋練馬区 日本歯科大学新潟病院口腔外科臨床講師 日本口腔外科学会専門医

はじめ歯科医院

インプラントは「入れて終わり」ではない|学術シンポジウムで学んだ包括的な治療の考え方

令和8年8月2日(日)、公益社団法人 日本口腔インプラント学会 関東・甲信越支部 第16回学術シンポジウム「『若手歯科医師による!』インプラント治療の包括的マネージメント」が日本歯科大学 富士見ホールで開催され、参加してきました。

今回のシンポジウムでは、インプラント治療に関する知識や技術だけでなく、診断・治療計画・手術・噛み合わせ・治療後の維持管理までを含めて考える「包括的なインプラント治療」について、さまざまな発表を聴講しました。

発表者が若手歯科医師ということもあり、これまで培われてきた治療方法を基本としながらも、新しい技術や考え方を取り入れた柔軟な視点からの発表が多く、大変刺激を受ける内容でした。

公益社団法人 日本口腔インプラント学会 関東・甲信越支部 第16回学術シンポジウム「『若手歯科医師による!』インプラント治療の包括的マネージメント」

「包括的なインプラント治療」とは?

患者さんにとってインプラント治療というと、「歯がないところにインプラントを入れる治療」というイメージが強いかもしれません。
しかし、インプラントを入れること自体が治療のゴールではありません。

治療前には、
・顎の骨の量や形
・神経や血管の位置
・残っている歯の状態
・噛み合わせ
・最終的にどのような歯を入れるのか

などを確認し、治療後にはインプラント周囲の歯ぐきや骨、噛み合わせ、清掃状態などを継続的に管理することが重要です。

つまり、「どこにインプラントを入れるか」だけではなく、「その後どのように噛み、どう維持していくか」まで考えて治療計画を立てることが大切です。
今回のシンポジウムでは、まさにこうした視点からインプラント治療を考える発表が行われました。

CTの情報を三次元化して、手術前にシミュレーション

印象に残ったテーマの一つが、XR(Extended Reality)を利用した手術前のシミュレーションです。

インプラント治療では、CTによって顎の骨や神経などの位置を確認します。
今回の発表では、こうしたCTデータを三次元的に可視化し、患者さんそれぞれの骨や上顎洞などの状態を立体的に確認しながら、手術前のシミュレーションに利用する取り組みが紹介されました。

例えば、上顎の奥歯では、インプラントを入れるために必要な骨の高さが十分でないことがあります。

そのような場合にも、
「どの位置から処置するのか」
「どの方向に器具を進めるのか」
「どこまで骨に処置を加えるのか」
などを事前に検討することで、より綿密な治療計画につなげるという考え方です。

また、術者だけではなく介助するスタッフとも三次元情報を共有することで、チームとして治療内容を理解するという点も興味深い内容でした。

「骨が少ない=大きな骨造成」とは限りません

インプラントは顎の骨によって支えられるため、骨の量は重要です。
そのため、「骨が少ないと言われたので、インプラントはできないのでしょうか?」というご相談をいただくことがあります。

今回のシンポジウムでは、骨の高さが十分ではない症例について、6mmのショートインプラント(通常より短いインプラント)を用いる考え方についても発表されました。

これは「短いインプラントなら誰にでも適している」という意味ではありません。
骨の量や質、噛み合わせ、全身状態などを確認し、症例によっては大きな骨造成などを行わずに対応できる可能性について検討するものです。

つまり大切なのは、特定の方法ありきではなく、患者さんのお口や身体の状態に合わせて治療方法を検討することだと改めて感じました。

「骨がある場所」ではなく「最終的にどう噛むか」から考える

今回、特に興味深かったのが、インプラントを利用して部分入れ歯を安定させる治療についての発表です。
インプラント治療では骨の状態を確認することが重要ですが、単純に「骨があるからここにインプラントを入れる」と考えるだけではありません。

最終的にどのような歯や入れ歯を作り、どのように噛んでもらうのかを考え、そこからインプラントの位置を検討するという考え方が紹介されました。

患者さんにとって重要なのは、インプラントそのものではなく、治療後に食事をしたり会話をしたりすることです。

だからこそ、「インプラントを入れること」から考えるのではなく、「治療後のお口の状態」から逆算する。
この視点は、インプラント治療を考えるうえで非常に重要だと感じました。

インプラントは「入れた後」も大切です

シンポジウムでは、治療後のトラブルについても取り上げられていました。

例えば、
・インプラントを固定するスクリューの緩み
・スクリューやインプラントの破折
・被せ物の破損
・セメントの脱離
などです。

こうしたトラブルには、インプラントの設計だけでなく、噛む力や歯ぎしり、食いしばり、被せ物の形など、さまざまな要因が関係することがあります。

インプラント治療は人工歯が入ったところで終了ではありません。
治療後も定期的に状態を確認し、噛み合わせや清掃状態などを管理していくことが大切です。

若手歯科医師だからこその柔軟な視点

今回のシンポジウムで特に印象的だったのは、従来から蓄積されてきたインプラント治療の知識や技術を基本としながら、「患者さんへの負担をどう抑えるか」「治療前にどこまで予測できるか」「治療後までどう安定した状態を維持するか」という視点から、さまざまな方法が検討されていたことです。

三次元データを利用した手術シミュレーション、ショートインプラントの活用、最終的な噛み合わせから逆算する治療計画、治療後のトラブルへの対応など、若手歯科医師ならではの柔軟な発想に触れることができました。

知識だけではなく、日々の診療をどのように改善していくかという点でも、大変有意義なシンポジウムでした。

はじめ歯科医院 中村橋のインプラント治療

はじめ歯科医院 中村橋では、インプラントだけを見るのではなく、残っている歯・顎の骨・歯ぐき・噛み合わせ・治療後のメンテナンスまで含めて考えることを大切にしています。

また、院長は臨床講師を務める日本歯科大学新潟病院でも、口腔インプラント科をはじめとする診療に携わり、大学病院での症例や知見に触れる機会を継続しています。

今回のシンポジウムで得た知識や考え方についても、今後の診断・治療計画に活かしてまいります。

まとめ|大切なのは「インプラントを入れること」だけではありません

インプラント治療にはさまざまな方法があります。
しかし、大切なのは新しい方法を使うこと自体ではありません。

患者さん一人ひとりの骨や歯、噛み合わせ、生活背景などを確認し、その方に必要な治療方法を検討すること。さらに、治療後まで見据えて計画すること。

今回のシンポジウムを通じて、インプラント治療を「一本のインプラントを入れる処置」としてではなく、お口全体を長期的に管理する治療として考えることの重要性を改めて確認することができました。

「骨が少ないと言われた」
「自分にインプラントが適しているのか分からない」
「インプラントを入れた後のメンテナンスが心配」

など、インプラント治療について疑問や不安がございましたら、はじめ歯科医院 中村橋までご相談ください。

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