歯周病と糖尿病の関係
『医科歯科連携研究会2024 糖尿病・歯周病対策の最前線』にWEB参加しました。
糖尿病は、眼科疾患や腎臓疾患、神経疾患だけでなく、悪性腫瘍、認知症、脳血管疾患、呼吸器疾患など、さまざまな病気のリスクを高めることが知られています。
糖尿病患者の主な死因は、悪性腫瘍、感染症、血管障害が挙げられますが、年々治療法が進歩し、糖尿病患者の生活の質(QOL)は向上し、寿命も延びてきています。
しかし、高齢になるにつれ、低血糖の自覚が乏しくなり、心血管疾患、転倒・骨折のリスクが高まることが問題となっています。また、高齢化により食事・運動・服薬といった生活習慣の管理が難しくなる傾向にあります。
現在では、低血糖リスクを軽減する糖尿病治療薬や、糖尿病に合併する慢性腎臓病・心不全・心血管疾患に配慮した治療薬も使用されています。
糖尿病と歯周病の関係も重要視されており、糖尿病患者では歯周病の発症リスクが高まり、進行しやすいことが明らかになっています。
しかし、歯周病治療を行うことで、糖尿病の改善につながる※1 ことも報告されています。
特に、歯ブラシによる適切なブラッシングは、歯周炎によって破壊された組織の治癒を促進することが確認されています。
また、唾液を利用した歯周病リスクを測定する簡易検査も開発されつつあり、早期発見・早期治療の可能性が高まってきています。
今回の研究会を通じて、糖尿病と歯科疾患の関係を改めて認識し、全身の健康を維持するためには、歯周病を含めた口腔ケアの重要性が非常に高いことを再確認しました。
※1 歯周炎によって破壊された組織の治癒を促進する「適切なブラッシング」について
■歯周炎とは
歯周炎は、歯と歯ぐきの境目に歯垢(プラーク)が蓄積し、細菌が繁殖することで歯ぐきの炎症や歯を支える骨(歯槽骨)の破壊が進行する病気です。
初期の歯肉炎を放置すると歯周炎へと進行し、最悪の場合、歯が抜け落ちてしまうこともあります。
■適切なブラッシングが重要な理由
歯周炎の進行を防ぐためには、毎日の適切なブラッシングが欠かせません。
ブラッシングによってプラーク(細菌の塊)を取り除くことで、歯ぐきの炎症を抑え、歯周炎による組織破壊を防ぐことができます。
効果的なブラッシングのポイント
① 歯と歯ぐきの境目を意識する
歯周病の原因となる細菌は、歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)にたまりやすいため、歯ぐきを傷つけないようにやさしく丁寧に磨くことが大切です。
② 歯ブラシの毛先を歯ぐきに45度の角度で当てる(バス法)
毛先を歯ぐきのラインに沿わせ、小刻みに振動させるように磨くことで、歯周ポケット内のプラークを効果的に除去できます。
③ 力を入れすぎない
強く磨きすぎると、歯ぐきを傷つけて逆に歯周病が悪化することがあります。優しく細かく磨くのがポイントです。
④ 歯間ブラシやデンタルフロスも併用する
歯と歯の間の汚れは、通常の歯ブラシでは落としにくいため、歯間ブラシやフロスを使用するとより効果的です。
⑤ 電動歯ブラシの活用
手磨きが苦手な方や、より効率よく歯垢を除去したい方には電動歯ブラシ(特に音波歯ブラシ)が有効です。適切な使い方をすることで、手磨きよりも効果的にプラークを落とし、歯ぐきへの負担も軽減できます。
■まとめ
歯周炎の進行を防ぎ、組織破壊を抑えるためには、毎日の正しいブラッシングが重要です。
特に、歯と歯ぐきの境目を丁寧に磨くこと、力を入れすぎないこと、フロスや歯間ブラシを併用することが大切です。
歯周炎のリスクを減らし、健康な歯ぐきを維持するために、定期的な歯科検診やプロフェッショナルクリーニングを受けることもおすすめします。
歯周病は放置すると歯を失う原因になるだけでなく、糖尿病や心疾患とも関連があるため、定期的なチェックをおすすめします。
練馬区
はじめ歯科医院 中村橋