口腔外科専門医 はじめ歯科医院 中村橋練馬区 日本歯科大学新潟病院口腔外科臨床講師 日本口腔外科学会専門医

はじめ歯科医院

口呼吸が子どもの歯並びに与える影響とは?原因・チェックポイント・改善方法

口呼吸が子どもの歯並びに与える影響とは?原因・チェックポイント・改善方法

お子さんがテレビを見ているとき、いつも口がポカンと開いていませんか?

「気づくと口が開いている」
「寝ているときに口で息をしている」
「何度注意しても、口を閉じられない」

こうした様子が気になっている保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、口呼吸(こうこきゅう)は、単なる癖とは限りません。鼻づまりなどが原因になっていることもあり、長く続く場合には、舌の位置やお口の周りの筋肉の使い方、歯並びや噛み合わせと関係していることがあります。

ただし、口呼吸をしているからといって、必ず歯並びが悪くなるわけではありません。
大切なのは、口呼吸の原因を確認し、お子さんの成長やお口の状態に合わせて適切に対応することです。

今回は、子どもの口呼吸と歯並びの関係、家庭で確認できるサイン、歯科医院に相談する目安について分かりやすく解説します。

1. 口呼吸とは?鼻呼吸との違い

呼吸には、鼻から空気を吸う「鼻呼吸」と、口から空気を吸う「口呼吸」があります。

普段、安静にしているときは鼻で呼吸するのが一般的です。
鼻には、吸い込んだ空気を温めたり、湿度を調整したり、ほこりなどの異物を取り除いたりする働きがあります。

一方、口呼吸が習慣になると、お口の中が乾燥しやすくなります。
唾液には、お口の中を洗い流したり、細菌の増殖を抑えたり、歯を守ったりする働きがあります。そのため、口の中が乾燥した状態が続くと、むし歯や歯肉の炎症などが起こりやすくなる場合があります。

また、口呼吸では口が開いた状態が続きやすく、舌や唇の位置にも影響することがあります。
こうしたお口の使い方が、成長期の歯並びや噛み合わせと関係していると考えられています。

2. 口呼吸は子どもの歯並びに影響するの?

口呼吸と歯並びには、一定の関連があることが報告されています。

歯並びは、歯の大きさや顎の骨格、遺伝などによって決まるだけではありません。
舌が歯の内側から加える力と、唇や頬が外側から加える力のバランスも関係しています。

例えば、普段から口が開いているお子さんでは、舌の位置が低くなったり、唇を閉じる力が十分に働かなかったりすることがあります。
このような状態が続くと、歯並びや顎の成長に影響する可能性があります。

出っ歯(上顎前突)

上の前歯が下の前歯より大きく前に出ている状態を「出っ歯(上顎前突)」といいます。
口呼吸に伴って唇が開いた状態が続くと、前歯にかかる唇の力が変化し、歯並びに影響する可能性があります。
ただし、出っ歯には骨格や遺伝なども関係するため、口呼吸だけが原因とは限りません。

開咬(かいこう)

奥歯を噛み合わせても、上下の前歯の間に隙間ができる状態を「開咬」といいます。
舌を前方に出す癖や、飲み込むときに舌で前歯を押す習慣などが関係することがあります。
開咬があると、前歯で食べ物を噛み切りにくくなったり、発音に影響したりする場合があります。

歯が並ぶスペースが不足する

舌は普段、上顎に軽く触れる位置にあることが望ましいとされています。
口呼吸に伴って舌が低い位置にある状態が続くと、上顎の発育や歯列の幅と関係する可能性があります。
ただし、顎の幅や歯が並ぶスペースは複数の要因によって決まります。

口呼吸だけで歯並びが決まるわけではないため、歯科医院で総合的に確認することが大切です。

3. お子さんは大丈夫?口呼吸の5つのチェックポイント

ご家庭でも、お子さんが普段どのように呼吸しているかを観察できます。
次のような様子がないか確認してみましょう。

① テレビを見ているときや遊んでいるとき、口がポカンと開いている

何かに集中しているとき、無意識に口が開いていることがあります。

② 寝ているときに口が開いている

睡眠中に口呼吸をしている場合、鼻づまりなどが関係していることがあります。

③ いびきをかくことが多い

いびきが頻繁にみられる場合は、鼻や喉の空気の通り道に問題がある可能性もあります。

④ 朝起きたときに口が乾いている

睡眠中の口呼吸によって、お口の中が乾燥していることがあります。

⑤ 唇を自然に閉じている時間が少ない

普段から唇が開いていたり、口を閉じようとすると顎に力が入ったりする場合があります。
これらの症状が一つあるだけで、口呼吸や歯並びの異常があると判断できるわけではありません。

ただし、複数のサインが続いている場合は、一度専門家に相談すると安心です。

特に、大きないびきが続く、寝ている間に呼吸が止まるように見える、息苦しそうにしている場合は、睡眠中の呼吸に問題がないか、小児科や耳鼻咽喉科などで相談しましょう。

4. 子どもが口呼吸になる原因とは?

子どもの口呼吸には、さまざまな原因が考えられます。

鼻づまりやアレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎や慢性的な鼻づまりがあると、鼻で呼吸しにくくなり、口呼吸になってしまう場合があります。
この場合、無理に口を閉じさせるのではなく、まず鼻で呼吸できる状態かどうか確認することが重要です。

アデノイドや扁桃の肥大

鼻の奥にある「アデノイド」や喉にある「扁桃(へんとう)」が大きいと、空気の通り道が狭くなることがあります。
特に、いびきや睡眠中の呼吸に問題がある場合は、耳鼻咽喉科などでの診察が必要になることがあります。

舌や唇の使い方

鼻に問題がなくても、舌の位置や唇を閉じる筋肉の使い方などによって、口が開いた状態が続く場合があります。
また、歯並びや顎の骨格によって、唇を自然に閉じにくい場合もあります。

つまり、口呼吸の原因は一つではありません。
歯科医院だけでなく、必要に応じて耳鼻咽喉科などと連携しながら原因を確認することが大切です。

5. 子どもの口呼吸を改善するには?家庭でできること

お子さんの口が開いていると、つい「口を閉じなさい」と注意してしまうかもしれません。
しかし、鼻が詰まっていて呼吸しにくい場合、無理に口を閉じさせることは適切ではありません。
まずは、なぜ口呼吸になっているのかを考えることが大切です。

普段のお子さんの様子を観察する

テレビを見ているとき、勉強しているとき、眠っているときなど、どのような場面で口が開いているか確認してみましょう。

鼻づまりが続く場合は耳鼻咽喉科へ

鼻炎や鼻づまりがある場合は、鼻の症状に対する治療が優先されることがあります。

お口の使い方を歯科医院で確認する

舌の位置、唇の閉じ方、飲み込み方などに問題がないか、歯科医院で確認することもできます。
状態によっては、お口の周りの筋肉の使い方を練習する方法が検討される場合があります。

なお、自己判断で口にテープを貼って眠らせるなど、無理に口を閉じさせる方法は避けましょう。

6. 口呼吸と小児矯正・プレオルソ・MFTの関係

お子さんの歯並びを考えるときは、歯の位置だけでなく、舌や唇の使い方、呼吸の状態も確認することがあります。
こうした問題への対応方法として、小児矯正のほか、プレオルソやMFT(口腔筋機能療法)などがあります。

プレオルソとは?

プレオルソは、成長期のお子さんを対象とした、取り外しのできるマウスピース型矯正装置の一つです。
歯並びや噛み合わせの状態に応じて使用し、舌や唇などのお口の機能にも着目しながら治療を進めます。
ただし、すべてのお子さんに適しているわけではなく、口呼吸そのものや鼻づまりを治す装置ではありません。

MFT(口腔筋機能療法)とは?

MFTは、舌・唇・頬などの筋肉を適切に使えるように練習する方法です。
例えば、舌の位置、唇の閉じ方、飲み込み方などを確認し、必要に応じてトレーニングを行います。
ただし、MFTだけで必ず歯並びが改善するわけではなく、お子さんの状態に合わせた対応が必要です。

また、口呼吸の原因が鼻や喉にある場合は、その原因に対する治療が重要になります。

7. 子どもの口呼吸や歯並びは、いつ歯科医院に相談すればいい?

口呼吸が気になるからといって、すぐに矯正治療を始める必要があるわけではありません。
しかし、次のような場合は、歯科医院で相談してみることをおすすめします。

・普段から口が開いている状態が続いている
・前歯が出ている、前歯が噛み合わないなど、歯並びが気になる
・唇を自然に閉じにくい
・舌を前に出す癖がある
・食べ物の噛み方や飲み込み方が気になる

子どもの歯並びは、乳歯から永久歯への生え替わりや顎の成長によって変化していきます。
そのため、必ずしも早く矯正治療を始めればよいというわけではありません。
大切なのは、成長の途中で気になる変化を見つけ、お子さんに適した時期に対応することです。

8. よくある質問(FAQ)

Q1. 子どもが口呼吸をしていると、必ず出っ歯になりますか?

いいえ、必ず出っ歯になるわけではありません。口呼吸は歯並びと関係する可能性がありますが、遺伝や顎の骨格、舌の癖など、さまざまな要因が影響します。

Q2. 子どもの口呼吸は自然に治りますか?

一時的な鼻づまりなどが原因であれば、鼻の症状が改善すると口呼吸も改善する場合があります。しかし、慢性的な鼻づまりやお口の機能などが関係している場合は、適切な対応が必要になることがあります。

Q3. 口呼吸が気になる場合、歯科と耳鼻咽喉科のどちらを受診すればよいですか?

鼻づまり、いびき、睡眠中の呼吸が気になる場合は、耳鼻咽喉科や小児科への相談が適しています。歯並び、噛み合わせ、舌や唇の使い方が気になる場合は、歯科医院でも相談できます。必要に応じて両方の診察を受けることが大切です。

Q4. 口呼吸はプレオルソで改善できますか?

プレオルソは、歯並びや噛み合わせ、お口の機能に着目した矯正装置です。口呼吸の改善を保証するものではなく、鼻づまりなどの原因によっては別の治療が必要です。装置の適応は歯科医師が判断します。

Q5. 何歳から歯並びについて相談できますか?

歯並びや噛み合わせが気になった時点で相談できます。乳歯の時期から確認できることもありますが、実際に治療を始める時期は、お子さんの成長や症状によって異なります。

9. はじめ歯科医院 中村橋の取り組み

はじめ歯科医院 中村橋では、お子さんの歯並びや噛み合わせについて、成長段階やお口の機能を考慮しながら診療を行っています。

皆澤院長は、これまでにプレオルソのベーシックコース・アドバンスコースを受講し、2026年7月には小児矯正・MFTに関するセミナーも受講しました。

こうした研修で得た知識を日々の診療に活かし、お子さん一人ひとりの状態に合わせた治療や相談に取り組んでいます。
また、当院では成長期のお子さんを対象としたマウスピース型矯正装置「プレオルソ」を導入しています。

ただし、お口の状態によって適した治療は異なるため、すべてのお子さんに矯正装置が必要というわけではありません。

「いつも口が開いている」「歯並びが気になる」「口呼吸と歯並びは関係あるの?」

そのようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

まとめ|子どもの口呼吸は、歯並びだけでなく原因を確認することが大切

子どもの口呼吸は、鼻づまりなどの呼吸の問題だけでなく、舌や唇の使い方、歯並びや噛み合わせとも関係することがあります。

しかし、口呼吸をしているからといって、必ず歯並びが悪くなるわけではありません。
重要なのは、口呼吸の原因を確認し、お子さんの成長に合わせて適切に対応することです。

歯並びは、成長期だからこそ変化する部分もあります。
お子さんの口呼吸や歯並びが気になる場合は、無理に口を閉じさせたり、自己判断で矯正を始めたりせず、まずは専門家に相談しましょう。

練馬区中村橋の「はじめ歯科医院」では、お子さんの歯並びやお口の健康についてのご相談を承っています。

参考文献・医学的根拠

本記事は、国内外の小児歯科学会が公表している資料などを参考に、子どもの口呼吸と歯並びの関係について、保護者の方にも分かりやすく解説しています。

1.日本小児歯科学会(2026年)
口腔機能発達不全の治療に関する重要なお知らせ ~口腔機能を育てる治療と矯正治療との関係について~

2.米国小児歯科学会(AAPD)
Management of the Developing Dentition and Occlusion in Pediatric Dentistry(成長期の歯並び・噛み合わせの管理)

3.米国小児歯科学会(AAPD)
Policy on Obstructive Sleep Apnea(小児の閉塞性睡眠時無呼吸に関する方針)

※お子さんの口呼吸や歯並びの状態には個人差があります。掲載内容は一般的な医学情報であり、個別の診断や治療方針については歯科医師などの専門家にご相談ください。

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記事監修:皆澤 肇(はじめ歯科医院 中村橋 院長・歯科医師)

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