難病と矯正治療、そして抜歯の判断――学術大会から得た新しい視点
2024年6月22日(日)、『第24回 日本矯正歯科協会(JIO)学術大会・総会』に参加してきました。
今回の学会では、矯正歯科治療に関する多くの最新知見が発表されましたが、特に印象に残った2つの講演についてご紹介いたします。
① 進行性骨化性線維異形成症と矯正治療について
「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」とは、国が指定する難病の一つで、筋肉や腱・靱帯が徐々に骨のように硬くなってしまう非常に稀な疾患です。幼少期から症状が始まり、関節が動かしづらくなったり、姿勢が固定されたようになったりします。歯科領域では、顎の開閉や口腔内の処置に制限が生じることもあります。
この講演では、FOP患者さんの矯正治療において、いかに安全に、そして的確に治療を行うかが示されていました。一般歯科医にとっても、矯正治療や外科処置に制限があるこうした疾患への理解は非常に重要です。
(参考:難病情報センター|進行性骨化性線維異形成症)
② 矯正治療における抜歯部位の選択について
矯正治療において、歯並びや噛み合わせを整えるために抜歯が必要となるケースがあります。当院でも、複数の矯正専門医院から抜歯依頼をいただいておりますが、症例ごとに抜歯する歯の部位は異なります。
今回の講演を通じて、なぜその歯を抜くのか、どのような治療方針に基づいているのかをより深く理解することができました。こうした知識は、患者さんにとっても安心して治療を受けていただくために大切なことだと考えております。
今後も、専門性の高い知識や最新の治療情報を学び、患者さん一人ひとりにとってよりよい治療につなげていけるよう努めてまいります。どうぞ安心してご相談ください。
練馬区 口腔外科専門医
はじめ歯科医院 中村橋