口腔外科専門医 はじめ歯科医院 中村橋練馬区 日本歯科大学新潟病院口腔外科臨床講師 日本口腔外科学会専門医

全身的リスクファクターとなる患者のインプラント治療

昨年師走に開催された「第27回公益社団法人日本顎顔面インプラント学会総会・学術大会」のオンデマンド配信を聴講しました。
『全身的リスクファクターとなる患者のインプラント治療』と題した講演が大変参考になりました。

演題は以下の通りです。

①抗血栓療法中の患者に対するインプラント治療
抗血栓療法とは、心筋梗塞、狭心症、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患など、血栓由来で発症する疾患患者に対して血栓症の発症を予防するために行われる治療法です。
抗血栓療法中は、術後の止血が長引き、術後の腫れ、痛み、皮下血種が見られることが多くなります。
抗血栓療法薬を休薬することで全身的合併症のリスクが上昇することから、基本的には休薬しません。
術中の愛護的処置、術後の止血に注意を払うことが重要です。

要約:抗血栓療法中の患者は止血に時間がかかる可能性がありますが、全身的合併症リスクを考慮し、薬の休薬は基本的に行わず、術中・術後の注意が必要です。

②骨吸収抑制薬使用患者に対する口腔インプラント治療
骨吸収抑制薬は、骨粗鬆症患者、がんの骨転移患者などに投与されています。
骨吸収抑制薬を内服中であっても、インプラント埋入部位に骨髄炎が認められなければ、基本的にインプラント埋入が可能ですが、埋入前の診断、埋入時の感染予防と愛護的処置、術後のメンテナンスが重要です。

要約:骨吸収抑制薬を服用している患者でも、適切な診断と感染予防措置により、インプラント治療が可能です。

③糖尿病とインプラン治療
糖尿病は、インプラント体と骨結合を阻害したり、感染のリスクが高かいため、糖尿病のコントロール状態や埋入部位の骨状態の術前精査が重要です。
術後感染予防には抗菌薬の術前投与、術後のメンテナンスが重要です。
インプラント治療は緊急性を要するものではないため、慎重な対応が求められます。

要約:糖尿病のコントロール状態や骨の状態をしっかり評価し、感染予防策を講じることが重要です。

④インプラント治療を契機に発現する不定愁訴への対応
インプラント治療後に原因不明の痛みや身体症状が発現することが稀にあります。
インプラント治療が原因ではなく、痛みの発生に関わる脳の神経回路の変化が原因といわれています。
このため痛みの専門医の診断治療が必要です。

要約:インプラント治療後に生じる不定愁訴は、インプラント治療が直接の原因ではなく、神経回路の変化に起因する可能性があり、専門医の診断が必要です。

この講演を受講することにより、全身状態が複雑な患者様にも安全かつ効果的なインプラント治療を提供するための知識が深まりました。これにより、患者様一人ひとりの状況に応じた、より細やかな治療計画の提案が可能になると考えています。

[全身的リスクファクターとなる患者とは]
「全身的リスクファクターとなる患者」とは、全体的な健康状態や病歴によって、特定の治療、例えばインプラント治療において、特別な配慮や注意が必要な患者様のことを指します。これには、慢性疾患を持っている方、特定の薬剤を常用している方、または他の医療状況が影響する可能性がある方などが含まれます。これらのリスクファクターを持つ患者様には、通常よりも慎重な治療計画と管理が求められます。

全身的リスクファクターとなる患者のインプラント治療

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